第14章 正しい答え
「どのくらい…滞在するかは未定なんだ。
本当に楽器1本と鞄一つで行く感じ。
同行するのもマネージャー1人だけだし。
でも、部活動の合宿みたいでワクワクしてるよ。」
高杉さんが仕事で海外に行くという事は、佐久間さんも日本を離れるという事だ。
滞在期間は未定。
しばらくは会う機会もなくなってしまう…。
いや、このまま永遠に会えなくなってしまうのではないか。
そんな…胸騒ぎのような感情が湧く。
「…美波?」
きっと私は、不安気な表情をしてしまっていたのだろう。
高杉さんは優しい口調でそう首をかしげた。
「何でもないです。」と、平静を装い、食事を続ける。
今は…ただ高杉さんと過ごすこの時間に集中しよう。
絶対に取り乱してはいけない。
「だからさ、美波。」
「…はい。」
「ずっと一緒に暮らそう。
美波と俺と…コロと三人で。」
そう微笑む高杉さんの言葉に、私は思わずナイフを手から滑り落としてしまった。