第14章 正しい答え
「高杉さん…私、こんな事望んでいません。」
「じゃあ、俺にどうしてほしい?」
「それは…。」
「もっと話してよ。
美波の思っている事。」
「思っている事…ですか?」
私の思っている事は、佐久間さんの事だった。
あれから何度も連絡をする機会はあったはずなのだが、未だに佐久間さんとは音信不通のままだ。
このまま…私達の関係は終わりを迎えるのか。
そんな事には絶対になりたくない。
心では“答え”が出ているにも関わらず、未だ行動に移せずにいる。
佐久間さんと向き合うという事は、“父と娘”という現実と向き合う事でもある。
私は…一体いつまで逃げるつもりなのだろう。
こうして高杉さんと食事をしていても、心の中には埋まる事のない“大きな穴”が存在しているのだ。