第14章 正しい答え
正直、そんな事で事態が収束するとは思えない。
それどころか、村瀬先生が一時的に学校から姿を消した事により、根拠の無い噂までもが真実味をおびてしまっていた。
彼女の立場は…悪くなる一方。
「“親友”だと思ってたのに、裏切られた。」と、被害者面をしながらヘラヘラと笑う朝倉瑠美が目障りだった。
「明日…終業式だよね?」
ソファーから起き上がり、気だるそうに彼女はそう言った。
「うん。それが終われば夏休み。」
「私、終業式出るの?」
「無理しなくても良いよ。
ここで通知表だけ受け取る事も出来るから。」
「もう、2学期からは来ないから。」
「そんな事言わないでよ。」
「先生達だって、私がいなくなった方が良いでしょ?
それで全てまるく収まるじゃん。」
「それじゃ、ダメなの。」
「どうして?」
「あんな男にあなたの人生が狂わされてしまうなんて許せないから。」
「…“あんな男”なんて言わないでよ。
私にとっては大切な人だったんだから。」