第14章 正しい答え
彼女と村瀬先生の噂は広まり続け、次第にその内容も過激なものへと変化していった。
彼女と村瀬先生は同棲していた。
村瀬先生が彼女を金で買っていた。
彼女は村瀬先生の子を妊娠し、中絶していた…。
どれも根拠のない噂話ではあるが、彼女と村瀬先生が“男女の関係”であったという事実を知る朝倉瑠美の存在もあり、次々と根も葉も無い作り話が生まれては広まっていった。
私が口外せずとも、村瀬先生と彼女の関係は白日の下にさらされたのだ。
そんな中…退学届けが欲しいと、彼女は涙ながらに訴えてきた。
ようやく事の重大さに気付いた教頭は「そのような事実はないが、生徒達を動揺させないため」との理由を付け、彼女の保健室登校を命じた。
しかし、噂話は生徒だけにとどまらず、職員室内では村瀬先生へと好奇の目が向けられるようになっていた。
当然ながら、私は村瀬先生をフォローする気など無い。
教頭の出した答えは“村瀬先生を1学期の間、自宅待機せる”というものだった。