第13章 夢の続きを話そう
「美波。さっきも言ったけど、“正しい答え”はいつも一つなんだよ。
それは母ちゃんの考える“正しい答え”なんかじゃなく、美波の考える“正しい答え”。
美波の人生で日々、美波が選択したものは全て“正しい答え”になるんだよ。
だから、美波の好きな方を選べよ。
だってこれは、母ちゃんの人生じゃなく、美波の人生なんだからな。」
高杉さんの言葉は、ヒリヒリと傷付いた私の心を優しく包み込んでくれた。
もしかすると、高杉さんは至極当然の事を言っているだけなのかもしれない。
しかし、今まで母の想い描く人生を歩もうと考えてきた私にとっては新鮮な言葉に聞こえた。
私がずっと心の奥底で求めていたであろう言葉をくれた。
きっと…私は今まで高杉誠という人間の奥深さに気付く事なく過ごしていたのだろう。
「そもそも、そんな器用に生きられる訳ないだろ?」と笑う高杉さんがとても強く見えた。
私の心に触れてくれた高杉さん。
そんな高杉さんの心に、私も触れさせてはくれないだろうか。
「高杉さんは…アーティストになる事が夢だったんですか?」