第13章 夢の続きを話そう
「真面目で頑固で不器用で…ちょっと暑苦しくて情が深い。
そんな美波の“正しい答え”は誰が決めたものなの?」
こんな問いかけを出来るのは、この世に高杉さんしかいないだろう。
まるで何かを諭すようなその言葉は、私の心を強く揺さぶる。
どこまでも澄んだ高杉さんの瞳。
20歳も年上である高杉さんの前では、私はただの“子供”になってしまう。
もし許されるのならば、もう少し私の心に触れてはくれないだろうか。
「私は…」
「うん。」
「私の“正しい答え”は…」
私の“正しい答え”は母の中にあった。
親しい友人などいなかった私の人生は、母の存在が全てだった。
幼い頃からテレビのない静かな部屋で一人、する事もなくただ勉強をしながら母の帰りを待つだけの日々。
私には母しかいなかった。
母が私の世界の全てだった。
母を困らせたくない。
母の悲しむ姿など見たくない。
私は母の望む人生を歩まなければ…。
私はこれまで…母の考える“正しい答え”を選択し、生きてきたのだ。