第13章 夢の続きを話そう
まるで心の中を読まれているようだ。
高杉さんの言う通り、私は人生における数ある選択肢の中から、常に“正しい答え”を探してきた。
自分が“選択したい”ものと、“選択すべき”ものとは違う。
私は今まで“選択すべき”ものを選んで生きてきた。
それを“正しい答え”だと思って。
言葉をつまらせる私の髪を、高杉さんの大きな手が優しく撫でる。
まるで全てを見透かされているような…不思議な気分だ。
正直、the IVYのボーカリストとしての“高杉誠”には魅力を感じていたが、プライベートの“高杉さん”はただの変質者だと思っていた。
関わりたくないと思うほど苦手な存在だった時もあった。
それが今はどうだろう。
佐久間さんとの関係を知ってしまってから今日までの間、高杉さんだけが私の心のより所となっている。
不本意にも、髪を撫で続ける高杉さんの手に手を重ねた。
胸のときめきは微塵も感じない。
感じるのは…言葉では表せないほどの深い深い安らぎ。
高杉さんの手を両手で包み込む。
そんな私を見て、高杉さんは優しくささやいた。