第13章 夢の続きを話そう
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「はい、夏だけどホット。」
リビングのソファーでうなだれる私に、高杉さんはホットミルクを作ってくれた。
それは偶然にも、故郷に住む母がよく作ってくれた物だった。
悲しい事がある度、暗い和室の部屋で寝転ぶ私に、母は甘いホットミルクを作ってくれた。
“甘いよ”
そう言って微笑む母の顔を思い出した。
「落ち着いた?」
高杉さんは私の頭をクシャクシャと撫でながら顔をのぞき込む。
真っ赤に腫れたまぶたを見られたくはなかったが、その手を払いのける事は出来ない。
温かく大きな手に、私は生きる事への免罪符を与えられたような気分だった。
今日もこうして…ただ夜が終わるのを待つ。
「ねぇ、そう言えば美波って何で教師になったの?」
私の隣に座り、高杉さんはそう首をかしげた。
いきなりどうしたのだろうか。
私の暴力的な本性を知り、疑問に感じたのか。
もともと…私は教師には向いていない。
高杉さんは食い入るような瞳で私を見つめていた。