第13章 夢の続きを話そう
「そういえばベッド買ったの。」
高杉さんはそう弾んだ声で話題を変えた。
「…ベッドですか?」
「そう。
さすがに俺も毎日ソファーじゃ身体が痛くてさ。
空いてた部屋に美波のベッドを。」
「…すみません。」
「何で謝るの?
これくらいしか出来ないんだからさせてよ。」
「申し訳ないです。」
「良いんだよ。
他に何か必要な物ある?」
高杉さんは、このまま私と暮らすつもりでいるのだろうか。
ありがたい事ではあるが、さすがにいつまでも世話になるわけにはいかない。
高杉さんにとって私は“親友であり仕事仲間でもある人の汚れた娘”だ。
こうして関わり続ける事自体、高杉さんにとっては迷惑なはず。
それなのに…
私はどこかで高杉さんに“安らぎ”を感じていた。
恋愛感情などではない。
もちろん抱かれたいとも思わない。
ただこうして隣にいる。
それだけで、私はかろうじて生きていられた。