第13章 夢の続きを話そう
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「美波はさぁ、人様に迷惑とコーヒーはかけちゃいけないって学校で教わらなかったの?」
警察署へと連行され、細かな経緯を話した。
あまり大事にはしたくないと、村瀬先生は被害届を出さないという事で示談となった。
それには、小松加奈との関係を口外するなという条件付きだ。
途方に暮れる私の身元引き受け人として警察署へと来てくれたのは高杉さんだった。
高杉さんの車に揺られ、マンションへと向かう。
日は沈み、夕闇に包まれた街に煌々とした明かりが灯り始めていた。
車窓から眺める車のテールランプ。
涙で滲んでぼやけて見えた。
それは、以前にも見た事のある光景だった。
あれは2年前の12月。
亮太に別れを告げられたあの日に見た光景。
あの時も、目障りなほどにイルミネーションが街中をきらびやかに彩っていた。
涙でぼやけていく光の粒。
こんなにも苦しい事は無いだろうとあの時は思っていた。
しかし、私の中の苦しさは今日、簡単にも更新されてしまったのだ。