第13章 夢の続きを話そう
私の中で何かが弾け飛ぶような音がした。
それは、赤い熱の玉をたくわえた線香花火が地面へと落ちて弾け飛ぶような…そんな感覚だった。
次の瞬間、私は村瀬先生の頬を拳で強く殴りつけていた。
倒れたテーブル。
床へと落ちたグラス。
散らばった溶けかけの氷とアイスコーヒー。
村瀬先生は椅子から転げ落ち、床へと倒れ込んでいた。
「結局、暴力ですか?
“愛している”などと言う感情はただの“押し付け”でしかない。
相手にとっては“暴力”と同じだ。」
そう言われてもなお、握りしめた拳は震えていた。
ゆっくりと立ち上がる村瀬先生へ、一人の女性が駆け寄る。
「直紀、大丈夫!?」
この女性は…確か村瀬先生の婚約者。
「ちょっと、あなた!!
何するんですか!?」
呆然と立ち尽くしていた私の腕を強くつかんだ。
「警察を呼んで下さい!!」
慌ただしくなる店内。
キッチンから出てきた男性スタッフに身体を押さえ付けられる。
激しい震えと止まらない冷や汗。
私は…
“私達”の想いを否定した村瀬先生の心無い言葉に怒り、感情に任せるがまま暴力を振るってしまった。