第13章 夢の続きを話そう
「男女の関係に“加害者”も“被害者”もありませんよ。
彼女を…小松さんを受け入れた時点であなたと彼女の関係は対等です。
しかし、あなたと彼女の“本来の関係”は教師と生徒。
あなたは彼女の誘いに乗るべきではなかったと思います。
小松さんはあなたの事を愛していました。
女子高生の“疑似恋愛”で済ませないで下さい。」
私のかけたアイスコーヒーは、村瀬先生のポロシャツに茶色い染みを作った。
それでも私の気持ちは静まらない。
こうしている間も、彼女は自室のベッドですすり泣いているはずだ。
17歳の少女にとってどれほど苦しい想いをしている事だろう。
想像を絶する。
彼女の痛みは死をも上回るだろう。
しかし目の前にいるこの男は、そんな彼女の事など気にも留めず、これから婚約者との甘い時間を過ごそうとしている。
罪の意識など全く無い。
この男に…自分がした事の重さを理解させるにはどうすれば良いのか。
紙ナプキンでメガネを拭き終えた村瀬先生は、まるで私の感情を逆撫でするかのように笑った。