第13章 夢の続きを話そう
「橘先生は何か勘違いしていらっしゃるようですが、どちらかと言えば僕は“被害者”です。」
「…被害者?」
「小松さんの恋愛感情など、ただの女子高生の“疑似恋愛”にしかすぎない。
その相手にたまたま僕が選ばれてしまった。
それだけの事です。」
自分はあくまで“受け身”であったという事を主張する村瀬先生に怒りがこみ上げた。
チラチラと窓の外を見ながらアイスコーヒーを飲むのは、仕事を終えた婚約者が現れないかと気にしているのか。
時刻はすでに4時をまわっているが、今は婚約者などどうだって良い。
彼女を蔑む発言だけは絶対に許さない。
私はとっさにテーブルの上に置かれたグラスを手に取り、村瀬先生の顔を目掛けてアイスコーヒーをかけた。
氷が散らばる音。
店内にいた誰もがこちらを見る。
頭からアイスコーヒーを浴びた村瀬先生は、軽く舌打ちをしながらメガネを外した。
「…何をするんですか。」