第13章 夢の続きを話そう
「そうですね…きっかけは電話です。」
「電話?」
「はい。
“家に帰りたくない”と。」
確かにあの家には帰る気になどならないだろう。
昨日彼女の自宅へ行き、あまりにも劣悪な環境に驚いた。
彼女は唯一の相談相手であった村瀬先生に助けを求めたのか。
「小松さんは家庭にも学校にも居場所が無かったようです。」
「…電話をして、その後に会ったんですか?」
「はい。もちろんです。」
「彼女から相談を受けていてその流れから…という事ですか?」
「そうですね。
しかし…家庭環境の事も、クラスでいじめにあっている事も、小松さんの中では“完結”している事のように思えました。
僕も特にアドバイスをする事はありませんでしたし。
小松さんは、ただ僕に居場所を求めただけだと思います。」
「小松さんは、あなたに恋愛感情があったと言っていましたが、当然あなたにもあったんですよね?」
追及するような私の言葉に、村瀬先生は一瞬目を丸くした。