第2章 高校教師
「それにしても、ずいぶん古い所に住んでるんだね。
高校の先生ならもっと良い所に住めるでしょ?」
「大学生の時からここで暮らしているんです。」
地元の高校を卒業し、大学進学のために上京した私は、この築30年以上の古びたアパートを選んだ。
学校から近いわけでもなく、最寄りの駅からも離れたアパート。
「女の子の一人暮らしは心配だから…。」と、母はせめてオートロックの物件にしてほしいと何度も言っていたが、私はここを気に入ってしまった。
気に入った理由は一つ。
家賃が安かった事だ。
確かに建物自体は古さを感じたが、1DKの広さは一人暮らしには十分過ぎる。
そのせいか、大学卒業後も特に不便さを感じず、このアパートに住み続けている。
これからも、ここに住み続けるだろう。
結婚でもすれば…と以前は思っていたが、その可能性は0に等しい。