第12章 壊れてしまえば
「…掃除、しないの?」
「うん。あんまり好きじゃない。
多分、遺伝だと思う。」
遺伝とは…母親の事を言っているのだろうか。
確かにあの女性も片付けが得意そうには見えない。
「いつからこんな感じなの?」
「物心ついた時から。」
「食事はどうしてるの?
ご両親、きちんと食べさせてくれる?」
「菓子パンとカップ麺が多いけど、別に気にならないよ。」
「それって、ベッドの上で一人で食べてるの?」
「うん。」
これを…“ネグレクト”と呼んで良いものなのだろうか。
もし、彼女が幼い子供であれば迷わず児童相談所に通報するレベルの案件だ。
しかし、彼女は高校生。
大人でもない、子供でもない、そんな微妙な年頃だ。
「母親見た?」
「うん。さっき会ったよ。」
「私の事何か言ってた?」
「…特に何も。」
「あの人、私に興味無いからね。」
彼女の冷めきった言葉に、私は違和感を覚えた。