第12章 壊れてしまえば
ギイギイと嫌な音を立てる階段を上り、二階の奥の部屋の前へとやってきた。
まずは…何と言葉をかけようか。
私が知り得る限りの優しい言葉を…そう思いながら、恐る恐る部屋のドアをノックする。
「…なに?」
そう無愛想な返事が返ってきた。
まさか私が訪ねてくるとは思ってもいないだろう。
一階にいた母親がきたと勘違いしているに違いない。
「私…橘だけど。」
「えっ!?マジ!?」
「入っても良い?」
「別に良いけど…。」
普段通りの彼女の声に安心した。
取れかけたドアノブをゆっくりと回す。
まずは…何と言うべきか。
“大丈夫?”“元気?”“心配してたよ”
私が知り得る限りの優しい言葉…。
どれも薄っぺらいものに感じたが、この位の言葉しか浮かばないのだから仕方ない。
とにかく、今は彼女の心に寄り添いたい。
私は…私だけは味方だと、彼女に感じてもらえれば良いのだが。