第12章 壊れてしまえば
「何か、1年の時から付き合ってたらしいですよ。
でも付き合ってると思ってたのは加奈だけで、村瀬先生には彼女がいたんです。
加奈は彼女がいても良いから村瀬先生に無理矢理付き合ってって言ってたみたいで。
村瀬先生かわいそうですよね。
村瀬先生、被害者ですよね。」
あまりにも饒舌に話す朝倉瑠美に強い嫌悪感を覚えた。
この様子ならば、何度も何度も同じ話を繰り返し吹聴しているのだろう。
想像していた人物像とはあまりにもかけ離れている。
少なくとも、朝倉瑠美と彼女は親しい友人だと思っていた。
「彼女は…小松さんは友達なんでしょ?」
「はい。親友です。」
「だったらどうして?」
「“どうして?”って何がですか?」
「親友なのに、どうして彼女の事を吹聴するような真似をするの?」
「え?
だって、みんな知りたがってたから教えてあげただけですよ。」
「…“教えてあげただけ”って、そんな。」
「みんな、加奈の事心配してるんですよ。」
悪びれる様子もなく、朝倉瑠美はそう笑った。