第2章 高校教師
「あの、今日は仕事…とかは大丈夫だったんですか?」
変な聞き方になってしまったが、私が知りたいのはそこだ。
以前住んでいた部屋であろうが、目を覚ましたら出て行くのが当然だろう。
身なりはきちんとしているが、肩まであるウェーブのかかった黒髪に口元の髭、男がどんな仕事をしているのかが気になった。
職業で相手を判断する…というわけではないが、やはり相手がどんな人物かを知るには大事な材料の1つだ。
「今日は…これから打ち合わせがあるんだけど。
起きたのが夕方だったし、ここから向かった方が近いから。」
「お仕事って…」
男は少し戸惑った表情を浮かべた。
余計な質問だっただろうか。
さすがに立ち入りすぎたかもしれない。
気を悪くさせてしまったか…。
しかし男は少し考える素振りをし、口を開いた。
「美容師だよ。」
「…美容師?」
「そう、美容師。」