第12章 壊れてしまえば
「また“小松加奈”の情報あったら教えてね。」
「うん。また明日ね。」
“小松加奈”
その名前に思わず足を止めた。
手を振り合う女子生徒達。
よく見るとそれは、彼女と同じ2学年の生徒だった。
屈託のない笑顔を浮かべているのは、彼女と同じ2年A組の生徒…朝倉瑠美。
いつも彼女と行動を共にしていた女子生徒だ。
その笑顔の先にいるのは、2年C組の飯田理沙。
彼女が孤立するきっかけを作った女。
飯田理沙は取り巻きの女子生徒を連れ、校門へと向かって歩いていった。
“また小松加奈の情報あったら教えてね。”
その言葉の意味とは何だ。
朝倉瑠美は制服のポケットから携帯電話を取り出し、画面へと視線を落とす。
高めのツインテールに大きな瞳。
“朝倉さんはいつもニコニコしていて、素直な良い娘だよ。
部活も一生懸命だし。”
愛美先生の言葉を思い出していた。