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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第12章 壊れてしまえば


「…して下さい。」

「え?」

「あの…キス、して下さい。」



目を合わせる事は出来なかったが、言いたい事は伝わっただろう。

予想だにしていなかった私の言葉に驚いたのか。

高杉さんは何も言わずに私の頬からそっと手を離した。



無言のまま、テレビの音だけが部屋の中に響く。

今まで散々迫ってきていたのは、ただ私をからかいたいがための言動だった事は理解している。

私の「やめて下さい。」という言葉があるからこその言動だったのだろう。



しかし、今は違う。



高杉さんの“誘い”に私が応えたのだ。

高杉さんは…一体どうするつもりだろう。

「冗談だよ。」と、いつものように笑ってやり過ごすのか。

それともこのまま関係を持とうとするのか。



高杉さんは手首につけていたヘアゴムで髪を束ねた。

そっと視線を上げ、高杉さんの顔をチラリと見る。

いつになく真剣な眼差し。

高杉さんはテーブルの上に置かれていたリモコンを手に取り、テレビの電源を消した。






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