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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第12章 壊れてしまえば


シャワーを手に取り、曇った鏡にお湯を掛けた。

流れるお湯で歪んだように見える鏡に身体が映る。

相変わらず凹凸のない身体。

女性としての魅力など全くない。



しかし…こんな私の身体を、佐久間さんは何度も何度も優しく抱いてくれた。



火照った肌を指でなぞる。

口付けてくれた場所ですらはっきりと覚えていた。

唇、耳たぶ、首筋、背中…脚、そして左手の甲。


どんな風に抱かれたか、どんな言葉をささやかれたか。

肌の感触、柔らかな髪の毛、体温、味や匂い…

忘れないよう、全てを身体に刻んだのだ。

どんなに拒もうとも忘れられる訳がない。



私の身体には…佐久間さんが染み付いている。



ボディスポンジで身体を洗う。

力を込め、何度も何度も身体を洗った。

赤くなっていく肌。



消し去りたい。

消し去りたい。



身体の痛みで心の痛みを紛らわす。

私の泣き声は、シャワーの音にかき消された。



どんなに身体を傷付けようとも…私の身体から佐久間さんが消える事はなかった。






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