第12章 壊れてしまえば
「お腹空いてるでしょ?
先生もコロも。」
「あ…はい。」
「今日は特別に俺がご飯作るから。」
「いえ…私が作ります。」
「先生は座ってて。
俺さ、カルボナーラだけは得意なの。」
女性もののエプロンを身に付けて、高杉さんはキッチンに立つ。
同棲相手の女性が置いていった物だろうか。
赤い小花柄のエプロンは高杉さんに不思議と良く似合っていた。
「猫の缶詰め、戸棚に入ってるよ。」
「あっ…ありがとうございます。」
「トイレは洗面所に置いてある。」
「…はい。」
「今日は泊まっていきなよ。」
「…良いんですか?」
「うん。サクちゃんには俺から連絡しておくから。」
腕時計を見ると時刻は午後9時。
これからペットも泊まれるホテルを探すのは困難だ。
明日は仕事もある。
泊めてもらえるのならありがたい。
しかし…こんなに甘えてしまっても良いのだろうか。
佐久間さんの親友であり、仕事仲間でもある高杉さんに。