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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第12章 壊れてしまえば


恐る恐る携帯電話の画面をのぞき見た。

今は…名前を見るのも怖い。

愛しいはずであったその名前。

まるで呪いの呪文のようになってしまっていた。



しかし、そこに表示されていたのは佐久間さんの名前ではなかった。



『高杉誠』



まるで暗い海の底でもがき続ける私に差し伸べられた手のよう。

高杉さんの名前を見ただけで、こんなにも安堵感を覚える日がくるとは夢にも思っていなかった。

苦手であったはずの高杉さん。



そんな高杉さんは、私と佐久間さんの関係を唯一間近で見てきた存在だ。



すがりつくような気持ちで、私は電話に出た。



「…高杉さん?」

「あっ、先生!?どこにいるの!?」

「…分かりません。」

「えっ!?迷子!?」

「いえ…ちょっと動けなくて。」

「大丈夫!?
今迎えに行くから!!
近くに目立つ建物ある!?」



私がいなくなった事を佐久間さんに聞き、電話をくれたのだろうか。

いつも余裕のある高杉さんの声は慌てていた。



「…高杉さん…助けて。」



涙に濡れる頬に冷たい風が吹く。

震える手で携帯電話を握り締めたまま、私は高杉さんが迎えに来てくれるのを待った。






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