第11章 目眩がするほど
2枚目の写真は、タオルにくるまれた私が眠っている写真だった。
当然ながら面影はない。
真っ赤な猿のような顔。
いかにも“赤ちゃん”という呼び名にふさわしい。
3枚目の写真は再び私を抱いた母と、一人の女性看護師との写真だ。
お世話になった担当の看護師だろうか。
今ではあまり見る機会がなくなったワンピースタイプのナース服が時代を感じさせる。
それもそのはず。
私は今年で26歳になる。
四半世紀も前の話だ。
この女性看護師も、今はもう引退しているだろう。
写真は全部で4枚あった。
次の写真も赤ちゃんの頃の私を抱く、母の幸せそうな笑顔の写真…。
そう思い、4枚目の写真へと視線を移す。
ベッドに腰かけ、花のように笑う母。
しかし、その横に写っていたのは私の想像を遥かに超えた人物だった。
パラリと手元から写真が落ちる。
あまりの衝撃に息を詰まらせた。
震える手。
身体からはひんやりと冷たい汗が流れる。
これは…一体何を意味しているのか。
答えなど一つしかない。