第11章 目眩がするほど
数冊のアルバムを手に取り、畳の上に座る。
正直、祖父と写真を撮った記憶はなかった。
残念ながら祖父との思い出は、どれもつまらない物ばかりだ。
幼い頃は忙しい母の代わりに、祖母が私の面倒を見てくれていた。
優しい祖母とは違い、祖父はいつも不機嫌だった事を覚えている。
私の存在をどこか疎ましく思っているのだろう。
そう子供ながらに感じていた。
居心地の悪さから、小学校へ上がる頃にはおのずと足が遠のいていった祖父母宅。
テレビの音楽番組が観たいと押し掛けた事もあったが、「今日は帰りなさい」と祖父に追い返された。
祖父にとって…私は“たった一人の孫娘”だ。
本来ならばもう少し大切にされても良かったと思う。
しかし…祖父にとって私は“たった一人の娘”の人生を狂わせた原因にしか過ぎなかったのだろう。
私さえ生まれなければ、母は普通に結婚をし、普通の幸せを手にいれていたはずだ。
きっと祖父は私を…私の“父親”を憎んでいたに違いない。