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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第11章 目眩がするほど


◇◆◇



“蝦夷梅雨”

その言葉もここ数年ではよく聞かれる言葉となっていた。

じとじとと湿った空気に冷たい霧雨。

今年は北海道らしくない天気が何日も続いていたそうだ。



昨日の夜、母からの電話で祖父の訃報を知った私は、今朝、生まれ故郷である北海道函館市へと帰って来た。

祖父母宅へと着いた時には、既に祖父は病院から戻り、白い布団に寝かされていた。

線香をあげ、手を合わせる。

厳格な生前の姿からは想像出来ぬほど、とても穏やかな死に顔だった。



「実は…1ヶ月前から入院してたの。」



赤い目を腫らしながら母はそう肩を震わせた。

憔悴しきった祖母。

疲れはてた二人の様子から、過酷な闘病生活を支えていた事が分かった。



…私は、一体何をしていたのだろう。



東京と函館。

物理的な距離はあったにせよ、電話の一本でも出来たはずだ。

「おじいちゃんやおばあちゃんは元気?」

そう母に連絡をしていたならば…



こんなふうに祖父との最期を迎える事は無かったかもしれない。






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