第11章 目眩がするほど
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明日…彼女は学校に来るだろうか。
そう思いながらマンションまでの道のりを歩く。
授業が終わると、彼女は足早に教室を出ていってしまった。
後を追い、声をかけるも彼女が振り返る事はなかった。
廊下へと消えていく後ろ姿。
私は…一体これからどうすれば良いのだろう。
ただ、今は彼女と話がしたかった。
しかし、私は彼女の連絡先を知らない。
こんな事ならば携帯電話の番号くらいは交換しておくべきだった。
いや…これまでほとんど毎日顔を合わせていたのだ。
放課後の屋上や昼休みの保健室。
話そうと思えばいつでも話せると思っていた。
彼女を…彼女の恋を傍観すると決めたあの日。
あの日でさえも、私は彼女の唯一の理解者だと…私は彼女から頼られるべき存在であると…そうたかをくくっていたのだ。
いつでも戻れると思っていた。
また屋上でタバコをふかしていたあの頃に。
しかし、私達はこの3ヶ月でずいぶんと心が離れてしまっていたように感じた。