第11章 目眩がするほど
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開け放たれた廊下の窓からは生暖かい風が吹いていた。
パタパタと廊下を駆ける女子生徒のワイシャツからはうっすらと下着が透けている。
短いスカートからあらわになる太もも。
何て無防備なのだろうと、思わず目を背けてしまった。
来週からはテスト期間だ。
学期末テストが終わればいよいよ夏休みが始まる。
私の故郷である北海道の学校とは違い、本州の学校は夏休みが長い。
生徒が夏休みだからといっても、教師には仕事がある。
しかし、学校に生徒がいないというのは少なからずストレスは軽減される。
短くはあるが、連休もある。
このまま何事もなく一学期を終えたい。
そして、出来る事なら佐久間さんと二人でどこか遠くへ行ってみたい。
車で数時間の場所でも良い。
恋人がするであろうデートというものをしてみたい。
今日の夜、帰って来たら話そうか。
そんなワクワクする気持ちを胸に抱え、5時限目の授業をするために私は2年A組の教室へ入った。