第11章 目眩がするほど
ライブの映像は終わり、エンドロールが流れる。
懐かしいスタッフの名前を見付けては「今何してるのかな?」と佐久間さんは笑った。
恥ずかしいと言っていたわりには、こうして最後まで付き合ってくれる。
佐久間さんの優しさは、出会ったあの日から1ミリも変わる事がない。
そもそも共通の趣味という物が無い私達にとって、ライブDVDを観ながら過ごすこの時間はとても有意義だった。
恋人同士で何かを共有するというは大切だ。
今までは佐久間さんの留守中にこっそり観ていたが、これからは時々佐久間さんの思い出話なども交えながら観賞したいと思う。
贅沢とは思うが、佐久間さんの恋人である私の唯一の特権だ。
「テスト作らなくて良いの?」
「お風呂に入ってからにします。」
「また一緒に入る?」
「…ダメです。」
ソファーに寝転び笑い合う。
こんな幸せがいつまでも続くようにと、佐久間さんの手をきつく握り締めた。