第11章 目眩がするほど
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「何か…恥ずかしいな。」
そう照れたような声で笑う佐久間さんの膝を枕にし、私はアイヴィーのライブDVDを観ていた。
「愛美先生に借りたんです。」
「愛美先生、こんな古い物も持っててくれてるんだね。」
「“アイヴィーは私の青春そのものだ”って言ってました。」
「嬉しいな。」
愛美先生から借りたのは、the IVYが初めてホールクラスの会場でワンマンライブを行った時の物だ。
日付は1995年7月7日。
メジャーデビューをして間もないアイヴィーの姿は衝撃的であり、当時0歳だった私にとってはとても新鮮だ。
奇抜なステージ衣装に、初々しさなど全く感じないスケール感溢れるサウンド。
未だにライブではマストとなっている曲達が当時のアレンジで演奏されている。
アイヴィーの持つ世界観が既にこの頃から確立されていたのだと、圧巻のライブ映像に何度も鳥肌が立った。
「…この曲好きです。」
「前も言ってたね。」
横たわる私の髪を撫でながら、佐久間さんは少し恥ずかしそうにフフッと笑った。