第11章 目眩がするほど
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佐久間さんと暮らすようになってから、食器を洗う音が好きになった。
水の流れる音。
カチャカチャと食器がぶつかり合う音。
楽しい宴は終わり、部屋にはしんとした静けさが漂っている。
少し物悲しいようでもあるが、胸の中はたくさんのおしゃべりと笑い声で溢れていた。
佐久間さんが私に与えてくれた魔法のような時間。
「高杉、結構飲んでたけど大丈夫かな?」
マンションのエントランスまで三人を見送りに行っていた佐久間さんがリビングへと戻ってきた。
「ワイン、ほとんど高杉さんが開けちゃいましたからね。」
「楽しかったって言ってたよ。」
佐久間さんの言う通り、高杉さんはいつにも増して上機嫌だった。
しかし、それは佐久間さんも同じ事。
四人でいる事が本当に楽しいのだろう。
お腹を抱えて笑い転げる佐久間さんを初めて見た。
私には到底引き出す事の出来ない佐久間さんの新たな一面。
知る度にどんどん引き込まれていく。
私の心を魅了し続ける佐久間さん…。