第11章 目眩がするほど
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「俺と純平は保育園から一緒で、サクちゃんが小学一年から一緒なの。」
高杉さんの言葉に「そうそう。」と相づちをうちながら八巻さんはもんじゃ焼きを焼く。
「俺らが子供の頃ってクラスが多かったから同級生でも遊んだ事が無い奴っていたんだけど、俺らはわりといつも一緒に遊んでたよな?」
「大体、俺がサクちゃん誘って純平の家に行くんだよ。」
「そうそう。高杉がサクちゃん連れて来て店の戸、開けるんだよ!!
“おばちゃん、何か食わしてぇ~!!”って。」
八巻さんと高杉さんは「懐かしいなぁ。」と言いながら笑う。
幼なじみという存在がいない私にとっては、心がときめくような話だ。
「サクちゃんと令志は家が近所だったんだよね?」
「そう、2軒隣で。
俺の兄貴がみんなと同級生で、俺だけ2コ下なの。
だから遊び相手はいつも兄貴の友達だったから、気が付いたらドラム叩かされてた。」
高杉さんからの質問から、令志さんの年齢を初めて知った。
「令志はみんなの弟だからな。」と、八巻さんが笑う。
「弟が一番しっかりしてるしな。」
高杉さんはそう言いながら、美味しそうにもんじゃ焼きを頬張った。