第2章 高校教師
「しっ…してませんよ!!」
動揺からか思わず声がうわずる。
突然何を言い出すのだと、私は頬を赤くさせた。
男はそんな私を気にもとめず、「そう。」と短く返事をすると、部屋の中をうろうろと歩き回る。
一体この男は何者なのだろうか。
そして、なぜいつまでも私の部屋で過ごしているのだろう。
「シャワー借りたから。あと、タオルも。」
キッチンの明かりをつけ、男は冷蔵庫のドアを開けた。
まるで自分の部屋であるかのように、水のペットボトルを取り出す。
「水、もらってもいい?」
「あっ…はい。」
「ありがとう。そういえば…昨日もありがとう。」
「昨日?」
「外で寝てる時、水くれたでしょ?」
コップに水を注ぎながら、男はフッと笑った。
私よりもずいぶんと年上であるはずの男。
しかし、その笑顔はどこか少年のような無邪気さがあった。