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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第10章 まばたき●


「…ちょっと待ってて。」



佐久間さんはソファーから立ち上がり、寝室へと避妊具を取りに行ってしまった。

このまま口の中に出してくれても構わなかったが、いかにも律儀な佐久間さんらしいとは思う。

脱ぎ捨ててある白いシャツを畳みソファーへと置く。

ふと窓の外を見ると、夕闇の中にうっすらと光の粒がキラキラと輝いて見えた。



それは星の明かりなどではなく、眼下に広がる街の明かりだった。



行為に夢中になっている間に夕日は沈み、代わりに現れたのは人工的な光。

立ち並ぶタワーマンションの明かりか。

それとも首都高を走る車のライトか。

数えきれないほどのまばゆい光。

北国の故郷の夜景にも似た風景。



いつもは夕方になるとすぐにカーテンを閉めてしまう癖があったたため、じっくりと眺めるのはこれが初めてだ。

星空の見えない都会の街でも、これはこれで美しいと思えた。

この街に来て、私はずいぶんとたくさんの物を手放したような気がしていが、得た物も多かったようだ。



そう今なら思える。






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