第10章 まばたき●
どうすれば、佐久間さんを気持ち良くする事が出来るだろうか。
見よう見まね…という訳にはいかない。
何の知識も無い。
こんな事になるならば女性向けのアダルト作品くらい観ておけば良かったか…。
口に含んだ陰茎の先端を舌で転がす。
それは先ほど佐久間さんが私にしてくれたように。
硬いはずなのにどこか柔らかい。
不思議な感触が口の中に広がる。
ちらりと上目遣いで佐久間さんの顔をのぞく。
瞳を閉じ、どこか余裕の無い表情だ。
こんな私の幼稚な愛撫でも感じてくれているのだろうか。
少なくとも私は今、とても気持ちが良い。
舌を絡め合うキスとはまた違った快感。
ほんの少しの苦しさと、口の中をくすぐられるような愛おしさ。
ずっとこうしていたいとさえ感じる。
佐久間さんの膝の上へと置いていた右手。
その右手に佐久間さんの左手が優しく重なる。
指を絡め合わせ、そっと手を繋いだ。