第2章 高校教師
来週、彼女は学校に来るだろうか。
バスを降り、アパートまでの道のりを歩く。
このまま欠席が続けば、間違いなく進級は出来なくなる。
もし彼女が退学を選ぶのであれば、教師である私に出来る事は何もないだろう。
しかし、在学の道を選ぶのであれば、彼女にしてあげられる事はあるはずだ。
生徒にタバコをねだる教師に心を開いてくれるかは謎だが、何とか彼女が進級出来るようにはしてやりたい。
しかし…
答えを出すのは彼女自身だ。
私が考えても仕方がない。
とりあえずは月曜日。
彼女が学校に来るかどうかだ。
アパートに着いた頃、辺りは夕闇に包まれはじめていた。
ぼんやりとしながら、2階へと続く階段を上る。
普段の自分からは想像も出来ない行動をしたせいなのか、身体はだるく足どりは重い。
“普段の自分からは想像も出来ない行動”と言えば、昨日の夜もそうだった。
見ず知らずの男を部屋にあげて泊まらせた。
男はきちんと帰るべき場所へ帰っただろうか…そんな事を考えながら、鞄の中から部屋の鍵を取り出した。