第10章 まばたき●
「朝倉さんはいつもニコニコしていて、素直な良い娘だよ。
部活も一生懸命だし。」
「そうですか…。」
「良いんじゃない?」
「え?」
「小松さんが朝倉さんと友達になるの。
これをきっかけに小松さんもクラスに溶け込めるかもしれないしね。」
「…そうですね。」
「橘先生もその方が良いでしょ?」
「私は…」
私はこのまま彼女との接点が無くなっていくのではないか…そう思った。
私は彼女の唯一の理解者。
その気持ちは今も変わらない。
しかし…彼女には彼女の“世界”がある。
彼女にはもう、私は必要無いのかもしれない。
愛美先生が言うように、彼女がクラスに溶け込む良い機会なのかもしれない。
“朝倉瑠美”
彼女にとっては親友になり得る存在かもしれない。
「さぁ、私達もお昼ご飯にしようか。」
「あっ…はい。」
コーヒーカップを手に取り、いれたてのコーヒーを喉に流し込む。
2020年4月6日
私は彼女を…彼女の恋を傍観する事にした。