第2章 高校教師
学校の屋上で教師と生徒がタバコをふかす。
彼女の言う通り、こんな所を誰かに見られたら私達はどうなるのだろう。
彼女は退学、私は教員免許剥奪だろうか。
今にも生活指導の村瀬先生が屋上のドアを勢いよく開けて飛び出してくるのではないかと思い、何とも落ち着かない。
目の前の彼女もまた、落ち着かない様子で手元のタバコからのぼる煙をじっと見つめていた。
昨日、彼女がどうしてこの場所でタバコを吸っていたのか…私には理解出来ない。
しかし、屋上でタバコを吸う気持ちは十分理解出来たような気がした。
決して気分の良い物ではないようだ。
ふいに彼女と視線がぶつかった。
まるで私の出方をうかがっているかのような彼女の視線。
私は何だかそれが妙に可愛いく思えた。
大人の仕草でタバコをふかしてはいるが、彼女はまだ16歳の少女なのだ。
「…悪い事するのって、こんなにドキドキするんだね。」
そう小さく笑った私に、彼女はわずかに微笑んだような気がした。