第10章 まばたき●
うつむく私の顔をのぞき見ながら、高杉さんはふふっと笑う。
「格好良くて目眩した?」
「…してません!!」
「え~、俺とセックスしたくなったんじゃないの?」
「そんな…ふざけないで下さい!!」
「俺はいつでも良いよ。
サクちゃんと三人でしようよ。」
少なからず意識してしまった自分が恥ずかしい。
愛美先生には悪いが、やはりプライベートの高杉さんはただの“下品な人”にしか思えない。
マイクを持ち歌う姿は表の顔で、裏の顔はただの変質者。
以前ほどの不快感はもう無いが、やはり私は高杉さんが苦手だ。
「サクちゃんまだ帰って来ないの?」
「…もうすぐ帰って来ると思います。」
「ねぇ、アイヴィーのギタリストが彼氏ってどんな感じ?」
「え?」
「the IVYのギタリスト、佐久間俊二が彼氏ってどんな感じなのさ?
“優越感”みたいな?」
「…そんな“優越感”だなんて。」
「じゃあ、不安?
モテモテのサクちゃんをテレビで観て嫉妬しちゃうとか?」