第9章 甘い嘘●
「…下ろしてください。
私…重いですから。」
「いや、重くないよ。」
佐久間さんは軽々と私の身体を持ち上げてしまった。
困惑し、ジタバタと暴れてみるも、佐久間さんは私を下ろそうとはしてくれない。
どこへ連れて行こうとしているのかは分かっている。
佐久間さんとはベッド以外でした事が無い。
間接照明の灯る寝室。
ベッドの上へと乱暴に下ろされた。
その瞬間、佐久間さんは着ていた服を脱ぎ捨てる。
今までの甘い一時とは違う。
今日はどこか余裕の無い仕草だ。
それでも私は構わなかった。
今日は私も余裕が無い。
こうして互いを求め合うだけの行為。
今欲しいのは甘いささやきなどではない。
もっと強い刺激が欲しかった。
狂ったように愛し合いたかった。
裸になった佐久間さんが私の身体へと覆い被さる。
ボタンの外れたシャツ。
脱ぎかけのストッキング。
ストラップが肩から落ちたブラジャー。
濡れて湿ったショーツ。
全てを剥ぎ取られた私は、佐久間さんの硬く起き上がった陰茎をそっと手で撫でた。