第9章 甘い嘘●
先端がねっとりと濡れているのを感じた。
初めて触れる佐久間さんの陰茎。
身体のどの部分よりも熱い。
正直、こんなに大きな物が身体へ出入りしていた事に驚いた。
…私だけの物にしたい。
そんな思いに駆られてしまう。
佐久間さんはいつものようにベッドの引き出しから避妊具を取り出す。
こんな時でもきちんと避妊具を付けてくれる佐久間さんが愛おしかった。
「今日は私が付けさせて。」
「いや、いいよ。」
「お願い。」
佐久間さんの手から避妊具を奪い取った。
裏面を確認し、袋を開ける。
困惑する佐久間さんを横目に、素早く取り出した避妊具の先端をつまみながら、硬く起き上がった陰茎へと被せた。
スルスルと両手で素早く根元までゆっくりと下ろしていく。
あまりにも慣れた手つきに驚かれただろうか。
以前付き合っていた大学時代からの恋人である亮太は、もともと避妊具を付けたがらない人だった。
何かあってからじゃ遅いからと説得し、私が付けてあげる事を条件に避妊具を付けてくれるようになった。
過去のセックスでの経験が今こうして再び役に立つというのは何だか複雑だ。