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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第2章 高校教師


「…1本もらえる?」



タバコとライターを制服のポケットへしまう彼女に、そうたずねた。

意味が分からなかったのか、彼女は不思議そうに首をかしげる。

「何をですか?」

「タバコ。」

「…え?」

「ダメ?」

「…ダメじゃないですけど。」



彼女は戸惑いながらもポケットから再びタバコの箱を取り出す。

チラチラと私の顔を見るのは、心が動揺している事の表れだろう。

彼女は「…マジかよ。」と小さくつぶやくと、箱の中から1本を手渡してくれた。



「ライターも貸して。」

「あっ…はい。」

タバコを口に加え、受け取ったライターで火を着ける。

その瞬間、煙から漂う匂いに胸が強く締め付けられた。

苦くも切ない亮太の匂い。

スーツに匂いが移るからと、嫌で嫌で仕方がなかった亮太のタバコの匂い。

それでも、タバコの後のキスは嫌いではなかった。



亮太の記憶を蘇らせる呪いのような匂いの中、私はただタバコをふかし続けた。






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