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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第9章 甘い嘘●


◇◆◇



マンションへ帰って来た時には、すでに午前0時を回っていた。

足音を立てぬよう、暗い廊下を歩く。

佐久間さんはもう眠っているだろうか。

玄関には今朝履いて出掛けたであろう靴が並んでいた。

…一体何から話せば良いのだろう。

いくらお酒を飲もうとも、愛美先生達の話を聞こうとも、このマンションへ帰って来ると心は落ち着きを失う。



それでも、佐久間さんを責める気持ちは微塵も無かった。

佐久間さんの立場を考えれば当然の事にも思えた。

佐久間さんは日本を代表するロックバンドのギタリスト。

見ず知らずの女に正体を明かすなどリスクが大きすぎる。



ただ…



恋人になってからは本当の事を話して欲しかった。

こうして毎日同じ家に帰り、同じベッドで眠るのだ。



もっと早く…出来れば佐久間さんの口から聞かせて欲しかった。

そう思ってしまうのは、私のエゴなのだろうか。






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