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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第9章 甘い嘘●


「…美容師なんです。」

「へぇ~、マジ?素敵じゃん!?」



ユカさんと愛美先生は顔を見合せながら「素敵だよね。」とうなずき合う。



何とかこの場をやり過ごさねば。

さすがに名前を聞かれたりはしないだろう。

今は話がそれるのを待つ。

何か旅行や料理の話…化粧品でも何でも良い。

別の話題に変わってくれさえすれば良いのだ。



「ねぇ、橘先生の彼氏はアイヴィーの事好きなの?」

「あ…いえ、音楽とかは聴かないと思います。」

「え~残念。」

「ユカちゃん、人それぞれなんだから。」

「そっか、そうだよね。橘先生ごめんね。」

「いえ…。」



話題は愛美先生の彼氏の話へと変わった。

今日はもうアイヴィーの話題には触れない方が良さそうだ。



楽しそうにおしゃべりに夢中になる二人。

その横で静かにスパークリングワインを飲み干した。



“私の恋人は佐久間俊二さんです”



そう言ってしまう事も出来たはず。



しかし…私は愛美先生とユカさんに嘘をついた。



それはまるで、出会った日の佐久間さんのように…。






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