第9章 甘い嘘●
高杉さんが誠実…。
そんなイメージは一切ない。
私にとっての高杉さんは、ただの下品な人だ。
「高杉さんは音楽にもファンにも誠実なの。
だからスキャンダルも少ないし、女性がらみのプライベートを絶対明かさない。
アイドルじゃないんだから別に良いんだけど、本人は気を付けてるんじゃないのかな?」
「でもさ、まなみん。
うちらがまだ中学生の時に“倉田理子”と噂になった事あったよね?」
「それはただ雑誌のインタビューで高杉さんが倉田理子のファンだって言っただけの話じゃない?
ドラマの主題歌を歌ってたからでしょ、きっと。」
“倉田理子”
思わず飛び出したビッグネームにただただ驚く。
二人が中学生の頃…という事は私はまだ1歳か2歳…だろうか。
そんな頃から二人はアイヴィーを見ていたのか。
ずいぶんと出遅れた感じはあるが、私ももっとアイヴィーの事を知りたいと思う。
the IVYというバンドのストーリーを。
インターネットに転がっていた言葉などではなく、長年アイヴィーを見てきたファンのリアルな言葉で聞きたいのだ。