第2章 高校教師
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放課後の屋上。
ドアを開けると、彼女は昨日と同じようにそこにいた。
小松加奈。
こちらへと振り返る彼女の頬を、夕焼けが赤く染める。
切れ長の美しい瞳。
やはり彼女は誰もが認める美少女だと、私は思わず見とれてしまった。
「何か用ですか?」
少し不機嫌そうな表情を浮かべ、彼女はそう言った。
まるですねた子供のような口調。
昨日の出来事のせいか、彼女は私を警戒しているようだった。
そんな彼女に向け、私はポケットの中から取り出したタバコとライターを差し出した。
「返す。」
「…え?」
「だから…返します。」
先ほどまでの不機嫌そうな表情を一辺させ、彼女は驚いた様子でタバコとライターを見つめた。
私だって自分の行動がおかしい事ぐらいは分かっている。
没収した物を翌日返す教師など聞いた事がない。
しかし、彼女の胸の内を知るには“フェア”な関係じゃなければいけない気がしたのだ。