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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第9章 甘い嘘●


しかし今夜は眠れそうもない。

遅くなると言っていた佐久間さんはまだ帰って来ない。

少しお酒でも飲めば眠れるだろうか。

こんな時間からお酒を飲むのには少し抵抗があるが、今夜は心がざわつきを増すばかりだ。

まるで佐久間さんに初めて出会ったあの日のよう。

あの日もまた、目には見えぬ何かに心が支配されてしまいそうな…そんな気分だった。



寝室を出てキッチンへと向かう。

明かりをつけ、冷蔵庫から冷えた缶ビールを取り出した。

プルタブを開ける音が静かな部屋に響く。

乱れた心を落ち着けようと、私は缶ビールを一気に飲み干した。



早く寝室に戻り、眠ろうか。

そう思うが、すっかり目が覚めてしまっていた。



ふとリビングを見ると、薄暗い部屋の中にあるテレビが目にとまった。

キッチンの明かりが画面に反射し、まるで光を放っているようだ。



…少しテレビでも観て過ごそうか。



テレビは時間を潰すのにも丁度良い。

ただ何も考えずに画面を眺めていれば、そのうち眠たくなるだろう。

このまま眠れぬ夜をベッドで過ごすよりはマシだった。






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