第9章 甘い嘘●
「私も橘先生達みたいに同棲しちゃおうかな?」
「…同棲ですか?」
「だって、朝目が覚めたら隣に愛する人がいるんだよ。
仕事が忙しくても、帰って来る家が同じであれば、わざわざデートしなくても会えるじゃない?」
「そうですね…。」
「橘先生はどう?
やっぱり同棲の方が良い?」
私と佐久間さんの関係は少し変わっている。
佐久間さんとは未だ自宅以外で会った事がない。
初めて出会った日でさえも、私の部屋に佐久間さんを招き入れ、泊まらせた。
私と佐久間さんの関係は自宅ありきだ。
そんな私達の同棲は、とてもスムーズに話が進んだと思う。
今のところ特に不便さを感じる事もなければ、何の不満もない。
「確かに…帰る家が同じっていう安心感みたいなものはありますかね。」
「そうなんだ。憧れちゃう。」
「…寝顔も毎日見れますからね。」
柄にもない私の言葉に、愛美先生はふふっと笑った。