第8章 身体の関係●
“綺麗だよ”という言葉よりも、初めて名前で呼ばれた事への嬉しさが勝った。
“恋人には名前で呼んでほしい”
昨日の朝、まるで駄々をこねる子供のように言った私の言葉を覚えていてくれたのだろう。
“先生”ではなく“美波”。
佐久間さんの腕の中、これまで感じた事のない喜びに涙が溢れた。
そんな私の涙をすくうように、佐久間さんは何度も優しいキスをくれた。
唇を割り、舌を絡め合う。
吐息が艶やかな声となって漏れ出す。
居心地の悪さを感じたのか、ベッドで丸くなっていたコロはリビングへと逃げて行ってしまった。
佐久間さんの温かな手が、私の胸を愛撫する。
胸の突起を優しく指の腹でつままれた。
「…んっ。」
あまり大きな声を出すのは恥ずかしい事と思っていた。
しかし、今は佐久間さんの指先が生む快感に逆らえない。
思わず顔を隠したくなったが、もっと続けて欲しいと身体はうずいていく。